宗教 宗教は憲法によってその自由が保障されていて国教は定められていません。現 在当局に登録されている宗教団体は300以上。土俗信仰から仏教、儒教が伝統的な 宗教として継承され、18世紀にはキリスト教が入ってきました。このうち仏教徒 儒教は三国時代以降の韓国の政治、経済、社会、文化などに大きな影響を及ぼし ました。比較的遅くに入ってきたキリスト教は20世紀以降次第に勢力を拡大し、 現在は信徒数と社会的な影響力の面で伝統宗教と肩を並べるほどになっています。 またプロテスタントとカトリックは韓国近代社会の思想と精神文化を形成する重 要な社会勢力となっています。 仏教 仏教は2世紀(A.D.372)、高句麗の小獣林王(ソスリムワン)の時に伝来し、その後 百済、新羅に様々な影響を及ぼしました。その中でも文化、特に建築物や彫刻、 絵画、工芸品などに色濃く見られますが、ユネスコの世界文化遺産に指定された 仏国寺(プルグクサ)と石屈庵(ソックラム)は、新羅を代表する芸術作品として世 界的に知られています。 キリスト教とカトリック キリスト教は1882年アメリカと就航条約を結んだ後伝播しました。始めは朝鮮 社会の基本的価値観に対置するため信徒達が迫害を受けましたが、教徒たちは日 本に対抗し反植民地運動に積極的な参与を見せたり、教育の機会を促進させたり したため、段々と受け入れられるようになっていきました。現在では韓国国民全 体の約25%がキリスト教徒だと言われ、海外での伝導活動も積極的に行っていま す。 一方カトリックは西洋学問として受け入れられました。朝鮮から派遣された明国 への使臣がカトリック教教理書に関心を持ち、1784年北京で初めて洗礼を受け帰 国し、礼拝堂が建てられました。相当な迫害に遭ったにもかかわらず多くの人た ちがカトリックを受け入れ、現在では200万人以上の信者を持つ宗教となりました。 儒教 儒教は基本的に仁の重要性を説き、古代韓国社会の共有思想となっていましが、 次第に韓国人の精神と交じり合い変化しながら現代の韓国人の生活にも大きな影 響を及ぼしています。 儒教は韓国の倫理体系、生活様式、国家法に必要不可欠な要素です。朝鮮時代の 主要思想であった儒教は実用的学問である実学に引き継がれました。そして韓国 人の意識に深く根を下ろし、今日まで持続する儀式(宗廟祭礼や択奠大祭) など、 多くの儀礼からもその影響を見ることができます。 シャーマニズム 韓国にはシャーマニズムが古代から民間信仰として深く根付いており、豊作祈願 や雨乞いなど人々の生活に深い関わりを持ってきました。 韓国のシャーマニズムはムーダン(巫堂)を仲介して問題を解決しようとするとこ ろにその特性があります。この特性はシャーマニズムの儀式であるクッ(巫祭)に 如実に表れており、今でも全国各地に残っている様々な形態のクッから見ること ができます。